妊娠中に不足しやすい栄養素<カルシウム編>
カルシウムは妊娠中に不足しやすい栄養素の一つです。
妊娠中は自身と赤ちゃん2人分の栄養を意識する必要がありますが、日本人女性はカルシウムの摂取量が足りないという指摘もあります。妊娠を機会に、良質なカルシウムを十分に摂取して健康を維持しましょう。
骨の主成分だけではない!カルシウムの役目とは?
カルシウムといえば骨や歯の主成分で、頑丈な骨を作るために欠かせません。お母さんと赤ちゃんの元気な骨の形成に欠かせません。しかしカルシウムは単なる骨の材料だけではありません。ここでは一般的に知られてるカルシウムの役割を紹介します。
筋肉の働きを助ける
カルシウムの大半は骨や歯にありますが、少量は血液、神経、筋肉の中にカルシウムイオンという形で流れ出ています。
筋肉のカルシウムは筋肉の興奮を抑え、心臓の筋肉の活動を支えます。もし筋肉の中のカルシウムイオンが足りないときは、骨を溶かして補充します。慢性的にカルシウムが足らない状態が続くと、骨粗しょう症になります。
精神を安定させる
ホルモンや神経伝達物質の放出を助け、細胞内に伝達物質の情報を送るサポートをします。
「カルシウムが足りないとイライラする」というのは、この作用のためです。妊娠中は精神が不安定になりやすいものですが、原因の一つにカルシウム不足があるのかもしれません。
出血を防ぐ
カルシウムは傷口の傷を凝固させ、過度な出血を防ぎます。
出産時の傷で大出血を起こさないためにも、十分にカルシウムを摂取しましょう。
カルシウムの妊娠中摂取目安量は?
妊娠中のカルシウム摂取量は、1日あたり1,000mg。妊娠していない状態なら550〜650mgほどなので、「二人分摂る」と意識することが大事です。
日本人は世界的にもカルシウム摂取量が足りないと言われています。カルシウムは体内に吸収するのが難しい栄養素です。サプリメントの助けも借りながら意識して摂取し続けることが、親子の健康を支えます。
意外な食品も…多く含まれている食品
「カルシウムといえば乳製品」のイメージが強いですが、意外な製品にも豊富にカルシウムが含まれています。
・緑黄色野菜(小松菜など)
・海藻(ひじき)
・小魚、小エビ
・大豆製品(豆腐、納豆、油揚げなど)
・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
乳製品が苦手でも、他の製品から摂取すれば問題ありません。
注意したいのは「ヨーロッパで好まれる生チーズ」です。ヨーロッパ伝統の加熱していないチーズには病原菌が含まれていることがあり、子供の成長を損ねる危険があるからです。美味しいですが生食は避け、必ず加熱調理をしましょう。
「プロセスチーズ」は加熱しているので安心して食べられます。
しかし、これらの食品を食べるだけでは不十分です。カルシウムはビタミンDの働きで小腸、腎臓から吸収されます。ビタミンDの摂取や生成も同時に心掛けましょう。
ビタミンDが豊富に含まれる代表的な食品は
・魚介類(鮭など)
・卵
・きのこ
など。特に鮭やシラスには豊富に含まれています。
シラスはカルシウムも豊富な食材です。最近は不漁で価格が高騰していますが、無理のない範囲で食べたいですね。
ビタミンDは体内でも合成されます。1日20分ほど日光に浴びるだけでも作られるので、できるだけ毎日外出しましょう。
きのこは2時間ほど日光に当てると盛んにビタミンDを生成します。適度に乾燥して保存性が上がるので、きのこをパックから出してザルに置き、庭やベランダでしばらく日光浴させると良いでしょう。
食品だけでは心許ないときは、サプリメントも活用を
カルシウムは和食では不足しがちな栄養素です。食品だけでは摂取が難しいこともあるので、不安ならサプリメントで補うことをお勧めします。
サプリメントを活用する場合は用量をしっかり守って過剰摂取に気をつけてください。カルシウムは最大でも1日2,000mgまでに収まるよう心掛けましょう。
カルシウム摂取を妨げる要因をできるだけ減らすことも大事です。
カフェイン摂取、リンの過剰摂取(リンはスナック菓子やインスタントラーメンなどに多く含まれています)、過度なダイエットや偏食はカルシウム吸収を妨げます。
お茶やコーヒーは食前、食中は避けて、食後しばらく経ってから1杯だけ飲むことをお勧めします。
カルシウムを骨に吸着させるには、適度な刺激=運動も欠かせません。
妊娠トラブルがなければ無理のない範囲で歩き、適度に足腰に負荷をかけましょう。