妊娠中に不足しやすい栄養素<ミネラル編>

 

ミネラルとはカルシウムやナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、銅などの非生物の元素です。鉱物が由来のものがたくさんあります。
鉱物が人体に必要なの?とビックリするかもしれませんが、ごく微量ながら必要不可欠です。(もし無性に鉱物や土を食べたい衝動があるなら、異食症という症状です。つわり中にまれに起こるので医師に相談しましょう。)

 

人体にはミネラルが欠かせません。ミネラルの役目は重要で、骨を頑丈にする、成長を助け免疫力を上げる、血液を作るサポートをするなど、妊娠中には欠かせないものばかりです。ぜひ毎日適量を摂取して元気な体を作りましょう。
ミネラルで気をつけたいのは過剰摂取です。たとえばマグネシウムを大量摂取するとカルシウムの吸収が邪魔されます。ミネラル同士で干渉し合う習性があるので、バランス良く摂取することが大事です。

 

鉄は血液の元になる大事なミネラル

鉄分は日本では慢性的に摂取量が少ないと言われているミネラルの代表格です。
赤血球の材料になり全身に酸素や栄養を運ぶ大事なミネラルです。もし鉄分が不足すると赤ちゃんの発育が悪くなり、早産を招くおそれがあります。お母さんにも貧血、不眠や集中力低下、いらいらなど精神の不安定を招きます。免疫力の低下、皮膚や髪、爪のトラブル、疲れが取れないなどの症状が出ます。

 

鉄の厄介なところは吸収率が非常に悪いところ。十分に摂取していると思っていても、実は丸ごと排出されて・・・とならないように工夫することが大事です。
鉄には2種類あり、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。吸収率はヘム鉄のほうが高く、牛肉赤身肉で20%以上、イワシ12%なのに対し、非ヘム鉄のほうれん草は4%、大豆で6〜7%ほど。非ヘム鉄の吸収率が悪いのはお茶の渋み成分タンニンや、食物繊維で吸収が邪魔されるからです。しかしほうれん草に含まれるビタミンCは鉄の吸収を促進する働きがあり、タンパク質と同時に摂ると更に吸収しやすくなります。数値だけ見れば動物性の吸収性が良いですが非ヘム鉄も大事な栄養素です。ヘム鉄も非ヘム鉄もバランス良く摂取しましょう。

 

多く含まれる食品は牛、豚の赤身肉やレバー、まぐろ赤身、イワシ、さんま、かつお、牡蠣、あさり、小松菜など青菜類、切り干し大根、ひじき、卵、大豆など。意外と多くの食品に含まれています。無理にレバーを食べなくても良いので、自分の好きな食材から鉄分補給をしましょう。

 

妊娠中に必要な鉄は1日あたり21mg以上。吸収しづらいことも考慮し、少し多めの摂取を心掛けましょう。

 

亜鉛-細胞分裂に欠かせないミネラル

亜鉛といえば男性を元気にするミネラル、というイメージがありますが赤ちゃんやお母さんにとっても欠かせません。
亜鉛は体内の細胞やDNAを合成し、免疫を強化するのに欠かせないミネラルです。赤ちゃんの健やかな成長、お母さんの健康を支えるために欠かせません。もし亜鉛が極端に不足すると赤ちゃんの発育不良、感染症リスクが上がる、傷が治りにくい、味覚を失う、加齢黄斑変成という目の病気を引き起こすなど、多くのトラブルを起こします。しかし過剰摂取をすると銅や鉄の吸収を邪魔してしまいます。できるだけ食品から摂取したい栄養素です。

 

亜鉛を多く含む代表格は牡蠣です。
牡蠣を2つ食べれば1日ぶんの亜鉛を十分摂取できます。しかし牡蠣のシーズンは限られていますし、ノロウィルス感染のリスクもあります。無理に食べなくても他の食材から亜鉛を摂取できます。赤身肉、鶏肉、カニ、エビ、大豆製品、ナッツ類、乳製品、全粒の穀物(玄米、オートミールなど)にも含まれています。意外な食材にコーンフレークなどのシリアルがあります。朝食用の栄養強化シリアルには亜鉛が添加されています。牛乳やヨーグルトをかける、全粒穀物から作られたシリアルを選ぶとより多くの亜鉛が摂取できます。

 

サプリメントで摂取するなら、亜鉛は単独のサプリよりも、様々なミネラルが含まれたマルチミネラルのサプリのほうがより安心です。過剰な亜鉛摂取は他のミネラルの吸収を邪魔するからです。

 

妊娠中の亜鉛摂取量は11〜12mgです。不足しがちですが無理のない範囲で摂取を心がけましょう

 

他にも気をつけたいミネラルは?

マグネシウムも意識して摂取したい栄養素です。
妊娠中に「こむら返り」が頻発する、目がピクピクするならマグネシウム不足が原因かもしれません。(こむら返りは足の冷えが原因のこともあります)
マグネシウムは酸素と結びつく性質があり、カルシウムやカリウムを細胞に運ぶ名脇役ミネラルです。血圧を調整する役目もあると言われ、不足すると骨の形成異常、高血圧や強烈な体のだるさ、頭痛、吐き気、足のツリなどが頻発します。
赤ちゃんの健やかな成長のためにも、お母さんの体調を整えましょう。植物性食品に多く、アーモンド、カシューナッツ、豆乳、枝豆など豆類全般、じゃがいも、玄米、アボカドなど多数あります。意識すれば食品から十分摂取できるミネラルです。

 

食品には1つの栄養素だけでなく、複数の栄養素が詰まっています。数値だけ見て善し悪しを決めるのではなく、なんでもバランス良く摂取するのが一番です。どうしても不足しがちな鉄は、医師の許可を得た上でサプリメントなども活用するのも良いでしょう。なるべく自己判断はせずに医師に相談してから摂取して下さい。

 

 

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