食欲が増す?妊娠中の高カロリーと肥満に注意

 

妊娠中は何かと食欲が増す方が多く、食べつわりという言葉もあるくらいです。通常では考えられない食欲の増進が見られる方もあります。
食欲が増してしまう原因として、妊娠に伴うホルモンの作用が考えられます。またお母さんの代謝も変化し、赤ちゃん優先のサイクルに変わります。しかしその食欲が適正な体重増加を超え、肥満につながってしまうこともあります。食欲にまかせ食べてしまうと、お母さんの健康を害するだけでなく赤ちゃんの健全な生育にも大きく影響します。

 

妊娠中の高カロリー摂取

妊娠するまで体型維持には自信があった方も妊娠に伴う嗜好の変化、食欲の増進で今まで避けていた、チョコレート、ケーキ、フライドポテト等の高カロリーのものが無性に食べたくなり、食欲のコントロールに悩む方も多いようです。
気のすむまで食べてしまうと適正体重増加を超えてしまうことは目に見えています。妊娠に伴うホルモンの変化等によって意志の力で抑えることが難しいかもしれません。しかし体重管理と栄養管理をしていくことは、体型の問題だけでは済まない、赤ちゃんの成長発育や、お母さんの産後の健康に大きく影響することを念頭において上手に食欲と付き合うことが大切です。

 

肥満と妊娠

 

妊娠と肥満による問題

妊娠中の体重増加は、胎児、胎盤、羊水、臍帯の新生、子宮や、乳房が大きくなり、血液量や細胞間質液の増加、蓄積脂肪です。
妊娠前は肥満ではない妊婦さんも、妊娠中に過剰に体重増加をして肥満となると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の発症頻度が高くなります。妊娠糖尿病を発症すると数年後、糖尿病を発症するリスクが高くなります。また妊娠糖尿病により、赤ちゃんが巨大児になり帝王切開での出産を必要とするおそれもあります。妊娠高血圧症候群では重症の場合母子ともに生命の危機にさらされることもあります。また、産後、生活習慣病、高血圧の発症頻度が高くなります。

 

適正な体重増加

妊娠前の体格により適正体重増加量は変わってきます。

 

ご自分の体格指数BMI(Body Mass Index)を確認します。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出します。

 

BMI別推奨体重増加量は以下になります

BMI 推奨体重増加量 1週間あたりの推奨体重増加量
低体重(やせ):18.5未満 9〜12kg 0.3〜0.5kg
ふつう18.5以上25.0未満 7〜12kg(※1) 0.3〜0.5kg
肥満 25.0以上 個別対応(※2) 個別対応

※1 体格区分が「ふつう」の場合、BMIが「低体重」(やせ)に近い場合は推奨体重増加量の上限に近い範囲を、「肥満」に近い場合には推奨体重増加量の下限側に近い範囲を推奨することがすることが望ましい。
※2 BMIが25.0をやや超える程度の場合は、おおよそ5kgをめやすとし、著しく超える場合には、他のリスク等を考慮しながら、臨床的な状況を踏まえ、個別に対応していく。

 

厚生労働省妊娠中と産後の食事について
妊産婦のための食生活指針パンフレットより参考、引用しました。
医師の指導のもと体重管理を行います。

 

どのくらいのカロリーをめやすにすればいいの?

厚生労働省が示す身体活動レベルU(普通)以上の方の摂取カロリー付加量は以下のようになります。(女性)

年齢 18〜29歳 30〜49歳 妊婦(付加量)
推定必要量(kcal/日) 1,950 2,000

初期+50
中期+250
後期+450

 

食事を例に増加量をイメージ

主食(炭水化物)
妊娠前に主食を1日5〜7摂取しているとして(ごはん小もり1杯を1、食パン1枚を1とする、うどん1杯、もりそば1杯は2として換算)妊娠初期、中期に主食量を増やす必要はありません。妊娠後期に入り+1の付加を目安にします。

 

野菜などを使った副菜
妊娠前に1日に5〜6の副菜をとっていたとします。(副菜1は野菜サラダ1品、ほうれん草おひたし、具が多めのみそ汁、ひじき煮物などをそれぞれ1として、野菜炒め、野菜の煮物等をそれぞれ2として換算)妊娠初期は0、妊娠中期+1、後期にまた+1とします。

 

肉魚を使った主菜
妊娠前に1日、3〜5の主菜をとっていたとします。(主菜1は冷奴、納豆、目玉焼き1皿等をそれぞれ1とします。焼き魚、魚天ぷら、イカとお魚の造り1皿等それぞれを2とします、ハンバーグステーキ、豚肉のしょうが焼き、鶏肉から揚げ等は1皿を3として換算)妊娠初期はそのままとし妊娠中期に+1、後期にまた+1とします。

 

乳製品
妊娠前に乳製品を1日に2とっていたとして(ヨーグルトカップ1個、牛乳コップ1/2杯、スライスチーズ1枚をそれぞれ1と換算して)妊娠初期、中期は付加なし、妊娠後期に入り1日+1をめやすにします。

 

果物
妊娠前から1日に2の果物をとっていたとして(みかん1個、リンゴ1/2個、かき1個、桃1個をそれぞれ1と換算して)妊娠初期はそのまま、妊娠中期に1日に+1、後期にさらに+1を付加します。

 

「主食を中心にエネルギーをしっかり」
「不足しがちなビタミンミネラルを副菜でたっぷり」
「体つくりの基礎の主菜は適量を」
※妊娠初期は動物性のビタミンAの過剰摂取に気をつけます。レバー、うなぎに多く含まれます。
〇内容は、厚生労働省の‘妊産婦のための食事バランスガイド’パンフレットを引用、参考にしています。

 

食事はたのしみながらとることが大切です

妊娠前、妊活中からバランスのとれた食事をすることは妊娠中、産後をとおして健康な体つくりをしていくうえでも大切です。
ケーキ、チョコレート、嗜好品については過食になりやすい傾向があります。過食すると結局、罪悪感や、体重増加を目の当たりにしてさらにストレスを生み出します。嗜好品は絶対禁止ではなく適量を守って、楽しんで取り入れることがお母さんにとっても、赤ちゃんにとっても大切です。
適正な体重増加における栄養管理を過度な食事制限としてとらえないで、低栄養状態にならないようにすることも大切です。妊娠中も赤ちゃんと一緒に食事をしています。食事を楽しんでとりましょう。
お母さんの健康のため、赤ちゃんの成長発達のために、医師、管理栄養士の指示のもと体重管理をして出産に備えます。

 

 

page top