妊娠中に注意するべき成分<ヨウ素編>
海藻類などに多く含まれるヨウ素は代謝維持に関わる健康維持に欠かせない栄養素の1つです。そんなヨウ素ですが妊娠中の摂取量には注意が必要な栄養素でもあります。こちらの記事ではヨウ素の危険性やヨウ素が含まれる食品などをご紹介します。
ヨウ素とは
ヨウ素とは別名ヨードとも呼ばれるミネラルの一種です。海藻類や魚、肉などにも含まれていて、摂取する事で通常は摂取する事で様々な効果が期待できます。ヨウ素は人体に摂取されると甲状腺ホルモンの主成分となります。甲状腺ホルモンは交感神経に働きかける効果があり、人体の基礎代謝を維持する効果があります。代謝の維持は脂肪の燃焼やお肌のターンオーバーを活発にするのでヨウ素を適度に摂取する事でダイエットや美肌に効果があるとも言われています。さらに甲状腺ホルモンは子供の脳やIQ、知能の発達、胎児の成長にも必要なホルモンでもあります。これらのことからヨウ素は子供の成長や健康の維持に必要な栄養素であることがわかります。
妊娠中のヨウ素の過剰摂取は危険!
代謝の維持に大きな影響をもたらすヨウ素ですが、実は妊娠中の過剰摂取には注意が必要です。ヨウ素は過剰に摂取しすると母体に大きな影響をもたらします。ヨウ素含んだ食品やサプリメントを過剰摂取すると甲状腺ホルモンが作られなくなってしまいます。そして、甲状腺ホルモンが作られなくなると脳が甲状腺にもっとホルモンを作るようにと命令を送り、これが原因で甲状腺が肥大してしまいます。その結果、甲状腺肥大や甲状腺炎、甲状腺ガンなどの病気を引き起こすことがあります。
また、ヨウ素の過剰摂取は母体だけでなく胎児にも大きな影響をもたらします。胎児は母体と繋がって栄養を供給されているため、母体が要素を摂取しすぎると胎児にもヨウ素が流れ込んでしまいます。その結果生まれた新生児が先天性甲状腺機能低下症や甲状腺肥大といった障害持って生まれてくる可能性があります。そして、一度に沢山のヨウ素を摂取すると体調に異変をきたし、発熱や嘔吐、重篤な場合昏睡状態に陥ることもあります。
そのため、「美容に効果があるから。」「健康い良いから。」「胎児の成長のために。」とヨウ素を含んだ食品やサプリメントを摂取しすぎると逆に甚大な健康被害を及ぼす可能性があります。
ヨウ素の許容量
ヨウ素の1日の推奨摂取量は成人で150μg、妊娠中の女性だと220μgと言われています。この220μgという量はヨウ素を多く含む食材であるカットわかめで換算すると約2.6gほどです。つまり、妊娠中の女性に推奨されるヨウ素の量は2.6グラムほどということになります。そしてヨウ素の許容量は個人差なども見られますが平均3000μgと言われています。これだけの量を1日摂取したからといってすぐに病気になるというわけではありませんが、長期間にわたり摂取し続けると上記の病気になったり胎児へ影響が出ることが予想されます。
ヨウ素を含む食品
ヨウ素は海藻類や肉、魚、卵、白米など多くの食材に含まれていますが、これらの食品はヨウ素の含有量が少ないので妊娠中でも特に制限する必要はありません。ただし、昆布やわかめ、ひじきなどの海藻は肉や魚に比べてヨウ素の含有量が非常に多いので注意が必要です。
昆布やわかめなどの海藻類がどのくらいヨウ素の含有量が多いのかというと、例えば肉類の中で一番ヨウ素の含有量が高いとされる鶏肉の100gあたりのヨウ素含有量は約49.9μgとされています。これに比べて昆布の100gあたりのヨウ素含有量は約230000μg、わかめは約8500μgと言われており鶏肉の数千倍ものヨウ素が含まれています。
特に昆布は食べ物の中で一番ヨウ素の含有量が多く、1gあたりに含まれるヨウ素が2300μgという計算になるので1日に1.4g以上口にすると許容量を超えるということになります。もちろんこれらの海藻を毎日たくさん食べなければ過剰摂取にはなりません。しかし、毎日お味噌汁を飲むという人や海藻を良よく口にする人は、食事内容や出汁の取り方を見直す必要があります。
ヨウ素はバランス良く摂取しよう
ヨウ素は妊娠中の女性が過剰摂取することで母体やお腹の中の胎児に良くない影響を与える反面、適度に摂取することで体の調子を整えるだけでなく胎児の成長や発達を手助けしてくれる強い味方にもなります。健康な赤ちゃんを生むためにも、適度にヨウ素を摂取して良いマタニティライフを送りましょう。