知ってた?厚生労働省が推奨してる栄養素「葉酸」
みなさん知っていましたか?
食品の成分表示欄にも多く見られる葉酸(ようさん)
実は、厚生労働省が妊活・妊娠中の女性に摂取を推奨している栄養素なのです。
厚生労働省のガイドラインでは、男女の年齢ごとでそれぞれの栄養素について推定平均必要量と推奨量を設定しています。18歳以上の女性における葉酸の1日あたりの推定平均必要量は200μg、推奨量は年齢により幅がありますが240〜250μgです。妊娠中の女性については、妊娠中に適切な栄養状態を維持して正常な分娩をするため余分に栄養を摂取する必要があるとして、より多くの推定平均必要量と推奨量が設定されています。その量なんと、推定平均必要量にしてプラス200つまり400μg、推奨量にしてプラス240つまり480〜490μgも妊娠中の女性には必要なのです。
ちなみに、推定平均必要量とは「EAR(estimated average requirement)」ともいわれ、厚生労働省のガイドラインでは「特定の集団を対象として測定された必要量から、性・年齢階級別に日本人の必要量の平均値を推定した。当該性・年齢階級に属する人々の50%が必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。」と書かれています。簡単にいうと「同じ年代性別の人のうち50%、つまり半分の人がこれで必要量を満たせますよという量」です。
先ほどの妊娠中の女性に必要な葉酸の例で言うと「葉酸を400μgとっていれば半分の人は足りて半分の人には足りない量」ということです。
一方の推奨量とは「RDA(recommended dietary allowance)」ともいわれ、厚生労働省のガイドラインでは「ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97〜98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。原則として「推定平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)」とした。」と書かれています。簡単にいうと「同じ年代性別の人のうち97〜98%のほとんどの人が1日の必要量を満たせる量」ということです。
なぜ葉酸の摂取が推奨されているの?
葉酸自体もともとDNAや赤血球の合成など、体の機能には欠かせない栄養素です。そのため老若男女問わず必要とされています。
妊娠中の女性は、赤ちゃんにのための栄養素まで補う必要があるため、葉酸に限らず様々な栄養素をふだんよりも多く摂取しなければなりません。中でも葉酸は神経管閉鎖障害のリスクを減らすという研究結果が認知されています。
神経管閉鎖障害とは、先天性の脳や脊椎の癒合不全のことで、生まれた時に腰や脳に腫瘍があったり、脳の発育ができない無脳症などがあります。ヨーロッパやアメリカを中心に、葉酸の摂取が神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすという研究結果が出ていること、そのため食品への葉酸添加が推奨されたりなど具体的な対策が実施されています。
日本においても、ライフスタイルの変化などから食生活も変わりつつあり、葉酸摂取の不足に対する懸念、二分脊椎の発症が近年増加傾向にあることを受け、厚生労働省が妊活・妊娠中の女性に葉酸摂取をすすめているのです。
具体的には妊娠の1か月前から妊娠3か月の間での摂取が重要です。
ちなみに、妊活・妊娠中の女性にとって望ましい葉酸の摂取量として、厚生労働省は神経管閉鎖障害のリスクを減らすためには普段の食事にプラスして400μgの葉酸摂取が望ましいとしています。
必要量を摂取するにはどうしたらいいの?
葉酸はアスパラガス、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれており、厚生労働省のガイドラインでも野菜を350g程度摂取して各食品を適切な量食べていれば葉酸400μgの摂取も可能としています。ただし、葉酸は水に溶けやすい性質があり、食材を料理することで栄養素が失われやすいものです。諸外国でもサプリメントなどの栄養補助食品を活用しているため、厚生労働省でも栄養補助食品の活用が必要であるとの見解を示しています。
なお、大事な葉酸ですが過剰摂取には注意が必要です。サプリメントで栄養素摂取が簡単にできますが、1日1000μg以上の葉酸摂取はしないよう気を付けましょう。
妊娠を望む女性や妊娠中の女性にとって、食生活はとても大切なものです。
日々の食生活に気を付けながら、サプリメントなどを上手に使って葉酸を摂取して行きたいですね。